わたしの意見-
水野 創

回復を確認する6月短観  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年7月6日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日銀の6月短観が発表された(3日)。

 内外の選挙結果や北朝鮮の弾道ミサイル発射など拡大する政治、地政学リスクに対し、わが国経済が、為替市場の110円/ドル前後での安定、米国、中国など海外経済の回復による輸出の増加等から着実に回復していることを確認する内容となった。

 効果を最も享受する大企業製造業の2017年度事業計画は3月調査に比べ早くも上方修正されている(表1)。現在の環境の下では、今後も上方修正を繰り返す可能性が強いと思う。

 激動する市場の下で、年度後半に向け下方修正が繰り返された昨年度と、企業マインドも全く異なる(表2)。

 業種別、規模別の業況判断を見ると、製造業・非製造業、大企業・中小企業のくくりでは3月調査比いずれも改善している。水準も「良い」が「悪い」を上回る業種が増加し、回復の範囲が着実に拡大してきたことがわかる。

 こうした中で引き続き悪いのは中小企業・小売業だ。個人消費の財布の紐がなかなか緩まない、すなわち消費性向がなかなかあがらないことの反映だと思うが、その消費性向も最近のGDP統計では下げ止まりから回復に転じており、その持続性が注目される。

 現在の回復が下期まで続けば企業マインド・業績の改善が業績連動の賞与などにより家計の所得増加に波及し、財布の紐が緩み始めたことを中小企業・小売業も実感できるようになるのではないかと期待している。東証株価指数の2万円台回復も追い風になる。

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