わたしの意見-
水野 創

回復は地方にも徐々に浸透-日銀「地域経済報告」-  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年7月13日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日銀「地域経済報告(さくらレポート)」が発表された(9日)。

 6月の地域別業況判断DI(全産業)は前回(3月)に比べ東北を除く全地域で改善している(東北は横ばい)。先週発表された6月短観で、回復の業種別、企業規模別の波及が確認できたが、今回は地方への浸透も確認されたことになる。

 DIの動きを2016年度上期、同下期、今回の変化でみると、動きが明確になる(表1)。

 ①DI(全産業)は市場が激動し世界経済に対する不透明感が強まった2016年度上期に悪化した後、下期に米国大統領選挙後の円安・株高をきっかけに改善に転じたが、全国以上の回復を示した地域数は、下期の4地域から今回は6地域に増加した。また、6地域のうち4地域は今回全国以上となった。

 ②DIの動きを業種別にみると、2016年度下期は製造業の回復が先行していたが、今回は非製造業も追いついてきている(下期に全国以上だったのは製造業6地域、非製造業3地域。今回はともに5地域)。

 なお前回のビジネスレターでは、6月短観の業種別、企業規模別動向を、業況判断DIの変化で確認したが、事業計画(半期)の売上高、売上高経常利益率で見ると、2016年度下期以降の回復状況がより明確になるので補足したい(表2)。

 こうした企業部門の回復浸透が、賞与、時給引き上げ等を通じて家計部門に波及し、所得・消費回復の好循環につながるよう期待している。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。