わたしの意見-
水野 創

進む空港機能強化の関係者協議  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年7月21日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 成田空港の機能強化を巡る動きが急だ。

 6月12日、成田空港に関する四者協議会(国、県、周辺6市町、空港会社)では、昨年9月の機能強化案への地域からの要望に対し、「夜間飛行制限緩和の見直し」、「空港周辺の地域づくり(地域振興策の方向性・内容をまとめたプラン作成)」等が示された。

 以下の点を考えると、迅速かつ極めて大胆な対応だと思う。

 ①5月の要望書の提出から1か月で対応策が示されたこと(周辺9市町の首長が、制限緩和案の見直しを国と空港会社に求めることを促す要望書を森田知事に提出したのが5月8日、森田知事が周辺6市町の首長と共に国と空港会社に見直しを要望したのが5月11日)。

 ②夜間飛行制限の緩和が昨年9月の当初案から大きく見直されたこと。

 成田空港の国際線利用者の伸びは全国の伸びを下回り、シェアの低下が続いている(表)。後者について、個人的には、当初案が、今後の伸びの中心となる海外旅行者、LCCに対する成田空港の競争力確保に不可欠なものであると考えていた。このため、国、空港会社の短期間での方針転換に非常に驚いたが、空港発展の経済効果が地域毎に大きな差がある中で、夜間飛行制限の緩和への反発が思った以上に強く、振興策の追加だけではとても理解を得られないということだったのだろう。

 事情はともかく、今回の案では空港の競争力に対する心配は残る。一日も早く結論を得、少なくとも見直し案に沿った機能強化には着手できるよう、地域振興連絡協議会(県、周辺9市町、農協、商工会議所等、空港会社)など構成の重なる他協議会等を含めた関係者の取り組みに期待したい。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。