わたしの意見-
水野 創

緩やかな回復継続を期待―IMF世界経済見通し  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年7月27日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日米金融政策の現状維持が決まった(日本20日、米国26日)。IMFの世界経済見通しも発表され、緩やかな回復継続を確認している(24日)。市場の反応も冷静だ(表1)。

 このうち、日本経済の回復は、世界経済の回復と110円/ドル台の為替相場の安定に大きく支えられているが、IMFの世界経済見通しの変化をみると以下のような特徴が明確になる(表2)。

 ①2016年は米国金利引き上げによる世界市場の大揺れ、先進国のポピュリズムと地政学リスクに揺れた。2016年7月に発表された見通しでは国内の政治的事情を抱える中国を除く主要国が軒並み下方修正された。

 ②2016年秋にトランプ大統領が選出されると情勢は一変し、見通しは下げ止まりから上方修正に転じ、今回発表された2017年の見通しは、高止まりする中国を除き、2016年を上回る成長となっている。

 ③こうした中で米国の2017年の見通しは、トランプ大統領のインフラ投資、減税などの実現が不透明なことを反映し、本年1月の見通しから下方修正されている。これらの政策は成長見通しだけでなく、為替、株式、長期金利など各市場にも昨年秋以降織り込まれていたものであり、現在、各市場でも調整が進んでいると思われる。今後の調整幅が大きくなるのか、景気動向と共に大統領、議会、司法の動きにもリスクがある。FRBの今後の政策決定過程でも後者を強く意識せざるを得ないだろう。

 現状では、2017年後半も、年前半同様、緩やかな回復と各市場の安定が継続すると期待できる。政治・地政学リスクによる攪乱がないよう願っている。

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