わたしの意見-
水野 創

「働き方改革」―取組項目別には製造業が先行  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年8月10日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 「働き方改革」への関心の高さは、人手不足感が強く、生産性向上の必要性が叫ばれている非製造業が上回っている(アンケート結果。表1)。

 しかし、項目別の取り組み状況を見ると、総じて製造業が先行している(取り組み済の項目の数値が非製造業より高い。表2)。「有給休暇取得率の向上」、「柔軟な勤務時間」、「時間外労働の削減」、「シニア層の活用」などの差が大きい。非製造業が先行しているのは、「非正規雇用者の処遇改善」程度だ。

 もっとも、取り組み済の項目で遅れている非製造業も、今後取り組みを予定・検討中の項目には意欲的に回答している。取り組み済で遅れの目立った上記4項目のうち「シニア層の活用」を除く3項目は製造業を上回っており、特に「柔軟な勤務時間」は取り組み済、予定の合計でも製造業を上回っている。今後、「業務のアウトソーシング」に取り組むとする回答も多い。この間、「シニア層の活用」では引き続き製造業が上回っているほか、「女性の活躍推進」も製造業が多い。

 このところの労働需要の増加を支えるシニア層、女性の活用・活躍推進が非製造業で相対的に難しく、「業務のアウトソーシング」に向かわざるをえないところに非製造業の人手不足の厳しさが感じられる。こうした課題克服を含め非製造業の本格的な取り組みはこれからとなるということだろう。この間、製造業はこれまで先行しているだけに、「取り組む必要があるが余裕がないため取り組んでいない」の回答比率が最大となっている点、今後どのように取り組みを深めていくかが課題となる。

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