わたしの意見-
水野 創

思ったより早い消費の回復-4~6月GDP速報  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年8月17日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 2017年4~6月の実質GDPの一次速報が発表された(表1)。企業の業績好調を映じ設備投資が増加し、個人消費も大きく伸びて、前年比でも季節調整済み前期比でも高い伸びを実現している。

 夏の賞与が前年を下回るなど所得環境の改善には今少し時間がかかり、その分個人消費の回復が明確に出るまでにもう少し時間がかかるかと思っていたが、思ったより早い回復となったのが今回の特徴だ。因みに、労働分配率は一高一低なのに対し、消費性向は3四半期連続上昇しているのが目立っている(表2)。

 このうち、最近の消費性向の上昇要因にはテレビ、自動車等耐久消費財の買い替え需要があるようだ。平均使用年数はテレビ、乗用車で7,8年、エアコン、冷蔵庫で10~12年とされている。リーマンショック後2010年前後に行われた省エネ耐久財消費促進政策(家電エコポイント、エコカー減税・補助金)、2011年7月の地デジ移行時に購入された商品の買い替え期が到来しはじめ、これから数年間は需要底上げ効果が期待できる。

 買い替え効果が続く間に、労働分配率向上による雇用者所得の増加も実現し、消費関連中小企業の業績改善につながる好循環の連鎖が定着するよう期待したい。

 今回の発表で連鎖が十分確認できない部分については、今後発表される関連統計の動きを注目したい。

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