わたしの意見-
水野 創

上昇続く資産価格に注視を  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年9月29日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 国土交通省から7月1日現在の地価調査結果が公表された。三大都市圏の商業地が上昇基調を強め、地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)では三大都市圏を上回る上昇を示した。

 もっとも、最近、お客様からは「バブルはいつ、どこからはじけるのか」、「不動産価格はすでにピーク圏に入っているのではないか」とご質問を受けることも多い。

 都心の地価が一部でバブル期を上回り、アベノミクス第3の矢の成長戦略は十分な成果を挙げておらず、2020年オリパラ前後に景気も後退局面に入ると見込まれることなどを考えれば、至極もっともなご質問だと思う。

 ただ、この問題は日本だけでなく、世界全体の問題と捉える必要がある。リーマンショック後、各国はこれまでにない金融緩和を約10年にわたり継続してきた。有り余る資金により、世界中で資産価格は上昇している。

 米国が金利引き上げから資産圧縮に向かい、欧州の金融政策変更も予想される。各国の政策当局はそうした事態が発生しないよう注意深く政策運営を行うだろうが、今後数年単位で見ればいつかは、上昇を続けてきた資産価格にも調整局面が訪れることを覚悟しておく必要がある。

 それがいつ、どの市場で起こるか、そしてその規模はどのくらいかは事前に想定することは出来ないが、少なくとも、これまでの上昇幅が大きく、その割りにその国の経済や市場が脆弱なところでリスクが高いということになる。2020年に向け市場、経済の動向に注意は怠れない。

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