わたしの意見-
水野 創

回復浸透を示す短観、業況判断DI  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年10月6日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 9月調査の日銀短観が発表され、大企業製造業の業況判断DIは「10年ぶりの高水準。2008年秋のリーマンショック後で最も高い」と報じられた(2日)。

 大企業製造業の業況判断DIは、円安傾向での為替安定、海外景気回復の効果を最も享受するので高くて当然として、その他の業況判断DIも軒並み高い(表1)。非製造業では大企業・中小企業ともリーマンショック前のピークを上回る水準となっている。また、売上高経常利益率はいずれもリーマンショック前を上回っている。大企業製造業を起点とする回復の浸透が確認できる。為替円安、株高、物価・地価上昇、海外景気好調など10年前と環境も似ている(表2)。

 もっとも経営者の皆さまと意見交換をしていて「リーマンショック前」と比較して「高い」という高揚感はない。

 企業部門に比べ賃金を主因に家計部門の回復は遅れ、異常気象の関連業界への影響も大きい。イノベーションの波の中、百貨店業界の店舗再編も続いている。

 人口減少、財政赤字拡大、医療・年金など構造問題についても一向に展望が開けない。

 2020年オリパラの準備に目途がつけば景気回復のピークも過ぎる。

 背景は多様だが、これまで多くの修羅場を乗り切って経営を持続・発展されてこられただけあって、皆さまのお話からはこれらを前提に今後の対応を考えておられるように感じられる。

 どのような対応が出てくるか楽しみだ。

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