わたしの意見-
水野 創

様々な圏央道・外環延伸効果  

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2017年10月12日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 2月に圏央道の茨城県つくば中央~境古河間が開通し半年強が経過した。累次の延伸に伴い交通量は着実に増加している(図表)。

 弊社では、この機会を捉え、ぶぎん地域経済研究所との共催で「圏央道・外環が繋ぐ千葉・埼玉の未来を考えるシンポジウム」を開催した(10日。稲毛セミナールーム)。

 パネリストには小湊鉄道石川社長、西武バス刈屋常務をお迎えし、交通事業者から見た、圏央道・外環の延伸効果について幅広く話題を展開した。印象に残った点をいくつか紹介したい。

 ①既存ルートからのシフト。小湊鉄道は年度中の外環・三郷南IC~高谷JCT開通を展望し、今春から高速バス「千葉~さいたま大宮線」を開業した。現在所要時間2時間だが、外環開通後は30分短縮され、定時性も増す。鉄道で必須の乗り換えもない。

 ②需要創出。圏央道は多くの人口減少自治体を通過しており、各自治体では圏央道IC毎に周辺に工業団地等を新設して地域振興を図っている。工業団地が既に稼働し始めている地域では、これまでの住民が最寄駅に向かう片方向の需要から従業員が駅から工場に向かう反対方向の需要も発生し、路線バスの乗車率上昇につながっている。

 ③観光拠点等のネットワーク化。埼玉県から神奈川県方向の圏央道開通で、海のない埼玉県民にとって、海へのアクセスが容易になった。小湊鉄道のトロッコ列車も現在は千葉、東京、神奈川からのお客様が多いが、今後は埼玉、北関東への拡大が期待される。この間、暖かい南関東のお客様に対し、西武バスでは秩父の「冬の寒さ」もアピールしている。

 本パネルは、30日には東京でも開催する。東京、埼玉中心のお客様に対し、どういった話の展開になるか楽しみだ。

 なお、パネルの内容についてはマネジメントスクエア(2017年12月号)にも掲載を予定している。

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