わたしの意見-
水野 創

金融緩和の出口はいつか?

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2018年6月28日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日銀は4月の金融政策決定会合で物価目標2%の達成時期の明示をやめた。7月の決定会合では物価がなぜ上がらないのか検証するという。

 物価が上がらない理由はともかくとして、現在の政策がいつまで続くかは、今後の経営計画、人生設計のために必要な情報だと思う。

 そうした問題意識で、政府、民間2つの中期経済見通しの関連項目を並べてみた。

 内閣府:アベノミクスの成果が発揮される成長実現ケースでは2020年度以降物価上昇率は2%近傍(以上ではない)で推移。一方、成果が現状程度のベースラインケースなら最後まで1%。

 日経センター:働き方改革、広域経済連携が実現する改革ケースでも2026-2030年度平均の物価上昇率は1.4%。実現しない標準ケースでは0.9%。

 いずれの見通しでも、現状のままでは今後10年間、1%程度の上昇にとどまり、金融緩和の出口は来ない。そして改革が実現しても、出口が来るのは政府の期待する成長が実現したケースだけだ。

 そのケースの実際の出口は、2020年度オリパラ後の景気後退を財政対策中心に克服した後、再任された黒田総裁の任期2023年4月の最終局面というイメージだろう。

 なお、内閣府の計量モデルでは長期金利は両ケースで2020年度から上昇することになっている。緩和継続の副作用、経済部門間のバランスなどを考慮すれば、現在の物価上昇率2%の出口の条件を達成していなくても長期金利水準を見直すのがこれまでの常識なのだと思う。

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