わたしの意見-
水野 創

4~6月期GDP2次速報:家計部門と企業部門の差は拡大

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2018年9月13日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 

 4~6月期実質GDP2次速報が発表された(10日)。設備投資は先に発表された4~6月期法人企業統計の結果を受けて1次速報に比べ一段と伸びを高めた。この間、消費支出の伸びは1次速報のままで、企業部門と家計部門の差は一段と際立つ結果となった。

 両部門の勢いの差はここ数年続いており、この結果、名目GDPに占める消費支出と設備投資の構成比も変化している(消費支出:消費税率引き上げ前のピーク2013年度59.1%→2017年度55.4%、設備投資同15.3%→15.9%)。為替円安、海外景気の回復を受けて純輸出(輸出―輸入)も拡大している(同▲2.7%→0.9%)。

 この差は全産業でみた業況判断が改善する中で、個人消費関連の企業が多く含まれる非製造業中小企業の業況判断改善の重荷になっている。

 県内のアベノミクス以降の動きを、季節的な振れを除くために、2012年以降毎年12月の結果でみると、全体でもっとも改善した2017年でも非製造業中小企業だけは前年並みのマイナスにとどまっている(業種別(大企業、中小企業を含む)でも、小売、ホテル・旅館はマイナス)。

 アベノミクス6年目に入っても「輸出関連企業業績回復・株高→家計所得増→消費支出増・価格引き上げ容認→消費関連企業業績回復」の好循環の完結は容易ではない。各段階の流れを妨げている要因は様々だが、難関の家計所得増から消費支出増・価格引き上げ容認への流れの回復には、足元の所得増加と共に将来に対する安心・信頼が必要だと改めて思う。


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