わたしの意見-
水野 創

「戦う」トランプ大統領

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2018年9月21日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 

 トランプ大統領が引き続き個性を発揮している(図表1)。これまでの動きを振り返ると、ほとんど全世界を相手に一人で立ち向かっているようだ。ひいき筋から喝さいを受けているのだろう。

 こうした政治のかく乱にもかかわらず、米国の株式市場は20日26,656.98ドルと今年1月の最高値を更新し、日本も堅調だ。米国の減税効果、日本の為替の円安傾向での安定など景気回復やそれを睨んだ投資資金の力が上回っているのだろう。国際機関の世界経済見通し(図表2)も、貿易戦争のリスクは指摘しつつも、現状は高めの成長見通しを維持している。

 それにしても、トランプ大統領が2020年大統領選挙まであと2年この騒ぎを継続した場合、どこかで貿易戦争の影響や金利引き上げの影響、減税の効果出尽くし感等が出るのは避けがたい。また、来年は日本も消費税率引き上げ、2020オリパラ準備のピーク越えがあり減速が予想される。

 現在高めの成長見通しを維持している国際機関がリスクを織り込んだ数字を掲げ始め、市場参加者もそのリスクを認識すると、市場の雰囲気も変化する。

 市場相手には大統領得意の相手を分断し、自分の得意分野である一対一の個別交渉に引きずり込む手法や、ツイッターを活用した不意打ちで、大統領対個人・企業の圧倒的な力の差を使って優位に立つ手法も使えないか限定的だ。

 景気、市場次第で、全面戦争とは全く違った作戦に切り替わることもありそうだ。


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