わたしの意見-
水野 創

好循環対トランプ大統領―短観9月調査

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2018年10月5日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 

 日銀短観9月調査が公表された(1日)。代表的な指標である大企業製造業業況判断DIの3期連続悪化、設備投資の好調持続の両様が特徴だ。

 大企業製造業の業況判断DI悪化は、選挙を意識したトランプ大統領のパフォーマンスの累積という海外要因、すなわち原油価格上昇や貿易戦争の先行き懸念等が主因だと思う。ピークだった2017年12月調査と企業規模別、業種別に比較すると大企業製造業の悪化幅は最も大きい。景況感の裏付けとなる企業収益を見ても、2018年度の売上高経常利益率の前年度比低下幅は大企業製造業が最も大きい。

 もっとも、利益率は企業規模、業種にかかわらず低下しており、トランプ大統領要因以外に、人件費、原材料・輸送コスト上昇等の影響もあるとみられる。この視点からみると、12月調査比改善している中小企業非製造業の業況判断DIも、2018年入り後は一高一低の横ばい状態で、また、個人消費関連の小売り、宿泊・飲食サービスの業況判断DIはマイナスのままだ。

 このように、今回の短観は、海外・国内両要因が重なり、先行きに慎重な印象も与えるが、大企業製造業は事業計画の前提となる為替相場を107円台/ドルとしており、現在の市場を前提とすれば、過度な心配は不要だと思う。


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