わたしの意見-
水野 創

7~9月期GDP一次速報対「iPhone」売れ行き不振

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2018年11月15日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 7~9月期実質GDP一次速報が発表された(14日)。台風や地震等相次いだ災害の影響により、事前予想通り季節調整済み前期比でマイナス、原計数の前年比でもゼロ近傍まで大きく伸びを落としている。

 内訳項目をみても、家計部門対比で好調だった企業部門の設備投資や輸出の勢いにも陰りがみられるのが今回の特徴だろう。

 一方で、2014年の消費税率引き上げ以降低下を続けていた消費性向が(国民の実感に近い名目値で)今回は下げ止まっているようにみえ、次期以降これが定着、反転するか注視したい。

 海外要因では、米中貿易戦争の中国国内への影響が表れ始めているのに加え、今週はアップルの「iPhone」新製品の売れ行き不振が市場の新たな不安要因となっている。これらは7~9月期の国内需要への影響は小さいかほとんどないと考えられるが、輸出の増勢鈍化の一因になっている可能性がある。既に下方修正が続いているマインド面に今後どのくらい影響を与えるかにも注意したい。

 今年の世界経済は、「順調な回復見通しがトランプ大統領の選挙活動で足をすくわれた」と総括できると思っていたが、アップルの行方次第では、「iPhone革命がついに行き着くところまで来た年」になるかもしれないという気もしてきた。

 ポピュリズムの政治、金融政策、イノベーションといろいろな要素が交錯するが、来年に向け考え方を整理していきたい。

 なお、12月に発表されるGDP二次速報では前年度の国民経済計算年次推計が反映されるため、過去の計数を含め修正される可能性がある点にも留意しておきたい。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。