わたしの意見-
水野 創

人手不足は全業種に。千葉県企業動向調査の「経営上の問題点」 ―2019年はこのほかにも多くの経営課題

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2018年11月29日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 

 千葉経済センターの千葉県企業動向調査の「経営上の問題点」で、「人手不足・求人難」が最大、「人件費等経費増加」が「売上不振」と並んで2位となった(15日発表)。アベノミクス開始前、「売上不振」、「過当競争」が双璧だったのと比べまさに隔世の感がある。

 これら2項目について、業種別の状況をアベノミクス前と比較すると、「人手不足・求人難」は全業種に及んでいるのに対し、「人件費等経費増加」は鉄鋼・非鉄、プラスチック、サービス業、食料品、小売等の厳しさが目立つ。後者では、運送コストの増加が全業種に及ぶ中で、製造業では海外資源市況高、為替円安の影響が大きい、また非製造業では労働生産性が相対的に低いといった背景を持つ業種が特に厳しい回答をしたと考えられる。

 2019年を展望すると、経営課題は上記にとどまらない。

 (1)人口減少・高齢化、モノ消費からコト消費への変化等の構造的な課題、(2)アベノミクスの効果波及の地域別・業種別の差が残る中での消費税率引き上げへの対処、(3)トランプ大統領発の激震への備え等厳しい側面が直ちに頭に浮かぶが、一方で(4)地域の追い風である交通インフラ整備や2020オリパラ等の活用、(5)世界的なイノベーションへの対応等前向きな側面も欠かせない。

 課題の重さ、優先順位は企業毎に様々だと思うが、それぞれの課題に適切に対応し、良い年となるよう期待したい。


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