わたしの意見-
水野 創

変わる「景気の現状」評価

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2018年12月12日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 7~9月期実質GDP2次速報が発表された(10日)。設備投資を主因に減速しているが、天候・災害等の一時的要因を考慮すれば想定範囲内であろう。

 当面の関心は、(1)14日に発表予定の日銀短観で、米中間の緊張の高まりや欧州の混乱などから景況感や事業計画がどの程度変化しているか、そして(2)それが盛り返しの期待される10~12月期以降の成長率にどう影響するかに移る。

 ちょうど、今回の発表では、足元の数値と共に、2016年度の改定値が発表された(図表)。2016年度は米国の金利引き上げに端を発した市場の大混乱とそれに伴う日銀のマイナス金利の導入と見直し、先進国のポピュリズムや新興国の地政学リスクなどによる海外経済の不透明感から日本経済は厳しい環境にあったが、今回の発表では2015年度対比一段と減速しており、個人消費はゼロ成長、設備投資はマイナスとなっている。

 目先の環境は、まだ2016年度ほどではないと思うが、政治リスクへの警戒感はここに来て急速に高まっており、マインドへの影響・経済活動の萎縮は避け難いだろう。

 今回の改定値を見ると、影響の大きさを改めて感じる。

 経済合理性とは離れた政治的な勝負ではあるが、選挙の存在が今度はなにがしかの抑止力になるよう期待したい。

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