わたしの意見-
水野 創

2018年―トランプ大統領が壊した景気回復期待

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2018年12月21日号に掲載)

 水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 年末を控え、市場が崩れている(図表1)。

 足元の世界経済がそう悪くなっているわけではないのに、トランプ大統領のこの1年の活動の積み重ねで、先行きに対する心配は高まるばかりだ。

 因みに、14日に公表された12月調査の日銀短観では、輸出を通じ世界経済の影響を直接受ける大企業製造業の業況判断DIが、現状9月調査比横ばいのあと、先行き低下を見込んでいる。昨年12月のピーク比で見ると、この1年間の影響の大きさが分かる(図表2)。

 19日にFRBが2019年中の引き上げ回数を2回としたのも、日本にとっては為替円高方向への圧力となり、動揺を拡大する要因になっている。

 トランプ大統領としては、中間選挙直後にできるだけ水準を切り下げておき、選挙のない来年1年でほとぼりを覚ましたあと、2020年にキーとなるいくつかの州で勝負をかけて2016年の再来を図ればよいと思っているのかもしれないが、来年統一地方選挙、参議院議員選挙、その後の消費税率引き上げが控える日本はたまったものではない。

 金融政策がほとんど動けない中で、今後の状況次第では、一段と思い切った「異次元の金融緩和」ならぬ「異次元の財政政策」の政治判断に向かいそうだ。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。