わたしの意見-
水野 創

動揺が収まらない2019年の景気・市場・政治

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2019年01月11日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

  明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 米国の中央銀行FRBのパウエル議長が、市場動向次第では2019年の利上げを見送ることもありうるという趣旨の発言をしたことで、株式市場はとりあえず落ち着きを取り戻しています。

 年末に、米中覇権争いの長期化、英国EU離脱に伴う混乱、アップル新製品の売れ行き不振で台頭した技術革新への不安等による景気先行き不安にトランプ大統領要因も加わって大幅安で終わった後だけに、今回の対応は好感を持って受け止められているようです。

 しかし、今後の市場は、以下の諸点で波乱要因を増したように思います。

 ①市場対FRB。今回で味を占めた市場は、今後も政策変更が予想される都度、おねだりをする可能性が強い。変動幅を拡大するとともに、政策変更をこれまで以上に難しくするだろう。

 ②トランプ大統領対FRB。大統領は解任で脅せばいうことを聞くじゃないかとこれまで同様口先介入を続けるだろう。

 ③日本経済・市場への副作用。米国金利がこれまでの期待ほど上がらないとなれば、為替市場では円高ドル安方向での圧力が働く。また、米国の長期金利低下に伴って、日本の長期金利も低下する。

 そして、一連の動きは日本にとっては米国発の円高は株安要因となり、市場は実際にそうした動きになっています。今後、統一地方選、参議院選挙や消費税率引き上げを控えるだけに、今後の景気情勢次第では追加的な政策対応につながる可能性がありうると思います。

 来週からは「ひまわり定期講演会」が始まります。それぞれの会場でその時点での最新情勢を基に意見交換をさせていただくことを楽しみにしています。


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