わたしの意見-
水野 創
様々な経済見通し―当たるのはどれか
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2019年01月24日号に掲載)
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]
今週は、IMFが世界経済見通しを、日銀が展望レポートを発表した(各21、23日)。この間中国は2018年の成長率をIMFの見通し通りの+6.6%と発表している。
日本経済について各機関の見通しが出そろったが、夏場の天災や異常気象の影響を受け2018年度が下方修正された後、先行きについての見方は様々である。
まず、政府経済見通しは、選挙対策や消費税率引き上げによる影響を回避するためのバラマキ政策の効果を高めに織り込んでもっとも高めの見通しとなっている(図表1)。
同じ公的部門でも日銀の見通しは2019年度が微妙に上方修正されたが、2020年度を含めほぼ横ばいの見通しだ。
これに対し、民間のESPフォーキャスト調査では、2019年度は政策の下支え効果で日銀同様2018年度並みを維持した後、その効果が一巡する2020年度は海外景気減速、企業部門の慎重化から低下を見込んでいる。
IMFの見通し(暦年ベース)は、世界経済全体についてトランプ大統領リスクで下方修正・減速を予想しているが、日本については、2019年に政策効果で伸びを高めた後、2020年は大きく減速する、世界経済の流れとは異なる姿となっている(図表2)。
日本の2020年度はそもそもオリパラ景気の反動も予想され、自然体で見れば、民間見通しの流れが分かりやすいが、選挙、各国の政治要因、そして米中貿易・先端技術戦争の長期化を考えると、IMF見通しのように2019、2020年(度)の振れがより大きくなることも十分想定される。いずれにしても、市場の振れが大きくなる材料には事欠かない。2020年度に向け心構えが必要だ。
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