わたしの意見-
水野 創

変わらない家計の節約志向

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2019年2月15日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 10~12月期の実質GDP1次速報が公表された(14日)。前期のような天候・天災要因はなかったが緩やかな回復にとどまっている。

 米中貿易戦争、中国経済の減速と共にその背景にあるのが、消費の回復力の弱さだ。

 消費の先行きについては、ひまわり定期講演会の各会場で、「配付資料に載せた計数はまさに今問題になっている厚生労働省の毎月勤労統計の数字なのでそのままは使えない。しかし、方向感としては、所得が少々上がっても、消費税率が引き上げられれば実質所得はそれほど上がらない上、財政赤字を含め将来の生活に対する安心感・信頼感が無ければ財布の紐は緩まない。消費税引き上げ対策のばら撒きの短期的な効果が一巡した後は多くは期待できない」と説明し続けてきた。

 今回の発表された数字は毎月勤労統計の不備が補正されているはずだが、所得が増加しても消費はそれほど増えず、消費性向は下がったままだ。

 年間でくくってみると、消費性向は2018年は2017年より一段と低下している。

 人生100年時代が現実のものとなってくると、退職し、年金・貯蓄に頼る期間はとてつもなく長くなる。財政赤字が給付削減、増税、物価上昇により解決される可能性がある以上、全ての世代がそれに備えた行動をとるのは当然だと思う。

 消費の回復には安心、安全の確保がぜひほしい。その前提として、統計が正確であることは大前提だ。

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