わたしの意見-
水野 創

個人消費、財布のひもの固さと使い方の変化

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2019年2月21日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 最近の個人消費は、所得、雇用環境の改善から回復を続けているが、勢いは今一つだ。

 天候、災害など一時的な要因、景気変動など循環的な要因、人口減少・高齢化に伴う需要減少・構造変化、将来不安に根差す消費性向の低下など社会的・構造的な要因など様々な背景が重荷になっている。

 このうち、リーマンショック・消費税率引き上げを経た後の消費性向のトレンドの変化は明確に数字に表れている(表1)。一方、人口減少・高齢化の影響については、需要が人口に比例する日用品・汎用品がスーパーの値下げ競争の対象としてよく話題になるほか、産業構造の変化としても、医療、福祉関連の事業所が、事業所数全体として横ばいの中で飛びぬけて増加していることに端的に表れている(表2)。

 構造変化への対応としてお客様にどのようなサービスを提供し、何を買っていただくか。

 上記の医療、福祉のほか、コト消費の充実、日常の買い物では、より高いお酒、化粧品の提供、そして宅配サービスを活用した買いやすさ、子供に対するより丁寧な教育、自宅のバリアフリー化・リフォームなどが考えられる。そして、すでに多くの経営者がそうした手を打っていることが運輸業、郵便業や教育、学習支援業の増加にうかがわれる。

 構造変化への対応は、地域としてみると過疎化・高齢化が進み、地方財政の厳しさが増す中でどのようなインフラを整備していくかという問題とも密接に関連する。

 各主体の連携により、地方創生の一連の取組みの中でも、個人消費の変化に対応したまちづくりを実現していきたい。

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