わたしの意見-
水野 創

荒れる市場の責任は

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2019年3月29日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 市場は先週からの荒れた状態のまま年度末を迎えている。

 各国の政治・政策や景気指標に敏感に反応しているようだが、緩和方向への一層の政策変更を求めてプレッシャーを強めているとの評価がよりふさわしいと思う。

 今起きている経済の変調は、そもそもトランプ大統領の中国宣戦に端を発したものである。

 こうなることは昨年秋に既に明らかで、年末のFRBをはじめ各国政策当局も既に対応を開始している。その効果は、時間と共にこれから大きくなるはずだ。

 そう思えば、個別の政策や政策効果発揮前の過去の姿を示す景気指標に過度に動じる必要は無いと思うのだが、実際の市場は大きく反応している。

 そして、困ったことに政策当局はこれに反応して一段と緩和色を明確にし始めた。

 おそらく、市場は「してやったり」とほくそ笑んでいるだろうし、トランプ大統領も一層緩和寄りの政策運営を求めて口先介入を強めるだろう。

 足元の景気・市場にはプラス要因だが、中長期的には振れを大きくする要因となる。

 日本にとっては、円高、金利低下、株安環境が続きそうで、消費税・選挙対策の財政ばら撒きの後、一段のばら撒きに追い込まれる可能性が高まった。

 それにしても、年末のFRBの唐突な政策転換が惜しまれる。先行きへの懸念ならもっと早く、景気の減速ならもっと遅くする、また、政策変更の前に何らかの情報発信をするゆとりが欲しかった。政治優位の下で、今後も同種の事態発生への覚悟が必要だ。

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