わたしの意見-
水野 創

世界景気の影響は中小企業製造業に―日銀3月短観

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2019年4月4日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 日銀の3月短観が発表された(1日)。

 世界景気減速の影響が大企業製造業から中小企業製造業に波及しているのが特徴だ。

 ①業況判断:世界景気減速の影響を直接受ける大企業製造業の現状判断が一段と低下し、2016年末並みの水準となったのに加え、これまで2017年末の水準を維持してきた中小企業製造業も今回は大きく低下、共に先行き一段の低下を予測している。

 ②2018年度事業計画:製造業は、大企業・中小企業とも前回調査の増収増益から増収減益に修正された。中小企業製造業の設備投資計画は、年度の進行と共に業績を見ながら増額されている例年の動きと異なり、前回調査比下方修正されている。

 もっとも、2019年度について悲観的になっているわけではなく、非製造業も現時点で大きな変化は見られない。

 ③2019年度事業計画:大企業製造業は増収減益、中小企業製造業は小幅増収増益だが、設備投資は例年並み。

 ④非製造業:現状判断は大企業で小幅低下、中小企業では引き続き改善。建設が好調なほか、中小企業の個人消費関連も改善の動き。設備投資も例年通りの動き。

 先行きについては、米欧、中国などの政策当局が既に減速対策を取り始めており時間と共にその効果が出てくること、2020年の大統領選挙が近づくにつれトランプ大統領も再選に向けなりふり構わぬ行動をとることなどを考慮する必要があると思う。

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