わたしの意見-
水野 創
2019年5月10日、日本時間午後1時
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2019年5月10日号に掲載)
水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]
今週のビジネスレターは、当初、連休中のトランプ大統領の関税引き上げツイッターについて書こうかと思っていたが、市場の動揺も大きかったため、引き上げが実施される10日日本時間午後1時過ぎまで待つことにした。
結局、引き上げ時点までに交渉は終わらず、とりあえず円高、株安のようだ。今後、何らかの合意にたどり着いたとしても、これからも続く米中貿易戦争のひとつの通過点に過ぎないのだろう。そして、今回の経験で改めてトランプ大統領とその政権の価値観が伝わってくる。
①経済、市場より政治優先。結果的に経済的な損失が生じることにはお構いなしだ。
②もっともそれが、法の支配、人権、民主主義等中国との価値観の違いを守るための戦いになっているので始末が悪い。
③大統領のツイッターによる発言には株価対策を意図したと思われるものも多いが、個人的な思いつきか組織的な決定か、全体像が見えない中での一言は市場参加者にとっては頭が痛い。
一方の当事者である、中国は、個別の交渉で米国の主張を受け入れたように見えても、北朝鮮の核同様、米国の価値観を容認するつもりはまったく無いだろう。先延ばし、逆戻りなどにより今回のような衝突は今後も続くはずだ。
来年の大統領選挙での再選を最優先とする大統領にとっては、投票日を一番良い状態で迎えることを目標に動いていると思う。一連の推移の中で、経済的な利益が票になるか、覇権・価値観が票になるか米国内の風向き次第で対応も変化しよう。
経営者としてはそれらを前提に今後の経営を考える必要があることになる。米ソ冷戦時代の政治と経済の歴史を振り返る局面もあるだろう。
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