わたしの意見-
水野 創

企業マインドと設備投資の先行き

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2019年6月13日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

  1~3月期実質GDP二次速報が公表された(10日)。設備投資が上方修正され一次速報同様プラス成長を維持した(図表1)。

 設備投資は、米中覇権戦争の影響等で3月調査日銀短観の企業マインドが悪化している中での上方修正である。背景を二次速報作成で利用された法人企業統計(1~3月期。3日公表)で確認した(図表2)。

 ①全産業では増収・増益。設備投資も伸びを高めている。

 ②製造業は増収・減益、非製造業は増収・増益と業績に差。短観の業況判断で製造業が低下しているのと符合している。

 ③設備投資は、製造業が伸びを低め、非製造業が伸びを高めている。なお、製造業の季節調整済み前期比はマイナスに転じている(10-12月期8.9%→1-3月期▲1.7%)。

 こうしてみると法人企業統計と短観で業種別にはおおむね同じ動きを示している。

 日銀の業況判断DIは先行きは「12→7」への低下を予測しており、覇権戦争が続き、企業の懸念通りその影響が拡大すれば、GDP統計等への影響も避けられないと感じる。

 各国の景気対策により影響が和らげられる面もあるが、わが国は、政策対応余地が少ないうえ、消費税率引き上げを予定通り行うとされている。相対的に厳しい状況に追い込まれる可能性が強く心配だ。

 

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