わたしの意見-
水野 創

様々な老後の生活―統計にみる

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2019年6月21日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 「老後資金2,000万円」問題が話題になっている。

 人生100年時代、人口減少、高齢化、財政赤字拡大等の構造問題を抱え、国民が生活を切り詰め、貯蓄に励んでいることは、消費性向の低下の背景として、これまでから指摘してきた。

 金額の当否はともかく、今回、人々が改めて将来への不安を強く感じたことは間違いない。

 老後の生活の現状について改めて確認しておきたい。

 【家計調査】

 ①家計の構造が大きく変化している。二人以上の勤労者世帯の中で世帯主が60歳以上の割合が2018年には22%に上昇(2012年17%)。二人以上の世帯の約3分の1は無職世帯だ。

 ②家計の収支をみると(図表1)、勤労者世帯は60歳以上でも黒字だが、黒字幅は半減する。

 ③60歳以上の二人以上の無職世帯は平均月5万円の赤字だが、年金の支給が部分的な60代前半では赤字幅が10万円を越えている。

 ④60歳以上の単身無職世帯の赤字幅は月4万円弱と二人世帯よりやや少ない程度。

 【生活保護被保護者調査】

 ⑤生活保護の受給世帯数は高齢者世帯の増加により増加している(図表2)。

 実態に即した安心できる制度設計と情報提供がなされるとともに、それぞれの家計がそれぞれの事情に応じた将来生活設計をすることが重要だ。

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