わたしの意見-
水野 創

減速感を強める世界景気―多様な背景への目配りを

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2019年10月25日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 台風被害からの復旧が終わっていない段階で雨の日が多く、被害にあわれた皆様のご苦労は増すばかりだと思います。心よりお見舞い申し上げます。天候が安定するとともにオール千葉で一丸となって一刻も早い復旧に取り組み、全員が復興を実感できるよう願っています。過去に例のない災害だけに、被害の実態に即したきめ細かい配慮が必要になると思います。

 この間、IMFが10月の世界経済見通しを、中国が7~9月実質GDP成長率(6.0%)をそれぞれ発表しました(15日、18日)。共に世界景気の減速を示していますが、減速の度合いは、ここ数年で一番高めの見通しだった昨年7月時点と比較すると明確です。

 2019年(暦年)の見通しは昨年7月の3.9%成長から3.0%成長にまで低下し、2020年も覇権戦争真っただ中の米国、中国そして日本は一段の減速を見通しています。

 これまでITバブル崩壊時やリーマンショック時にこれを下回る低成長はありましたが、今回は減速の主因が政治的な理由で、それぞれが政権の存続をかけて戦っている以上、当時との単純な比較はできません。経済対策の効果も限定的でしょう。

 さらに、本年のボーイング、テスラやウィーワーク、フェイスブックのリブラ騒ぎ等これまで成長をけん引してきた産業、イノベーションの実力についても疑問符が付き始めリスクを高めています。

 こうした情勢であれば、各国がそれぞれの事情を踏まえ金融・財政面からの経済対策を講じているのは、必然だと思います。

 日本は、世界経済の減速が輸出に影響しているほか、今後、特に来年度入り後は消費税率引き上げ、オリパラ準備一巡に加え企業業績の悪化から雇用や賞与・時間外等賃金への波及も心配です。

 政策当局がこれらを踏まえた万全の対策を準備するよう期待しています。

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