わたしの意見-
水野 創

明らかになりつつある消費税率引き上げ前後の姿

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2019年11月15日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

  消費税率引き上げ前後の統計、調査結果が公表されている。

 事前の予想通り、駆け込み需要は前回に比べ小さい。昨14日発表の7~9月期実質GDP一次速報値の国内需要は前年比+1.8%(前期+1.4%)にとどまり、前回(2014年1~3月期)の+4.1%(同+3.3%)に比べ低い数字だった。

 それでは今後への影響も小さいかといえば、そうとも言えない。

 ①10月の街角景気ウォッチャー調査の現状判断DIは大きく低下した(図表1)。家電量販店を中心に駆け込みの反動が指摘されている。

 ②なお、同調査では9月までの改善度合いに地域による差があることも分かる(図表2)。米中覇権争い、日韓外交問題、オリパラ景気の一巡、相次ぐ災害の影響などその他の要因ともあわせ、影響の出方も、地域ごとに差が出てこよう。

 ③家計調査の消費性向も、9月に前回ほどではないが飛び上がりを見せており、今後、その反動が予想される(図表3)。四半期で見ると心配はより強まる。

 ④消費性向は今年に入り下げ止まり傾向となってきたが、政府が検討に入った追加対策がバラマキと評価され中長期的な将来不安が強まれば、再び低下傾向を強める惧れもある。

 以上の通り今後の状況は厳しめに見ておく必要があると思う。政策当局の節度ある対応が期待される。

 

 

 

 

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