わたしの意見-
水野 創

2020年に向けた多くの波乱要因

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2019年11月22日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 米中覇権戦争、日韓関係等国際政治情勢に貿易、訪日外客数等景気が振り回される状態が続いている。消費税率引き上げの影響も時間と共に加わってくる。

 12月も迫ってきたので、そのほかの要因も含め、論点を整理してみたい。

 ①トランプ大統領は来年の大統領選挙での再選を念頭に、米中覇権戦争はもとより、弾劾、米朝関係、中東政策、株価、金融政策等伸ばし切った戦線全体で、できるだけ大きな成果を見せようと動き続けるだろう。香港問題も加わり、振れを大きくすることが有利だと思っているに違いない。

 ②日韓関係も両国が引くに引けない状況になっている。貿易、訪日外客数は大きく落ち込んでおり、特に韓国に近い西日本の景気には悪影響が続こう。

 ③消費税率引き上げの影響は、目先の駆け込み需要の反動のほか、ポイント還元等の影響緩和策が終了する来年夏以降も持続する。オリパラ景気の反動も加われば景気への下押し圧力はより強まる。

 ④こうした状況に、政府は財政を中心に追加経済対策の検討を始めており、一定の下支え効果が期待される。ただし、景気や財政規律への懸念が続く以上、消費者の節約志向・消費性向の低迷持続は避けられない。

 ⑤千葉県をはじめ9月から10月にかけて甚大な災害被害を受けた地域では、復旧・復興に向けた動きが加速する。

 ⑥各国の金融緩和の累積により、本来、持続可能でない企業に巨額の資金が投入されている事例がみられ、将来へのリスク要因になっている。

 波乱の2020年になりそうだ。

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