わたしの意見-
水野 創

際立つ家計の貯蓄志向 ―7~9月期GDP二次速報

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2019年12月11日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 7~9月期GDP二次速報が発表された(9日)。

 毎年、この時期の二次速報は、通常の法人企業統計等のほか、年に一度の国民経済計算年次推計(2018年)の結果も反映しているので、過去に遡って大きく変更されることが多い。

 今回も、7~9月期のほか、2018年度も大きく変更されている。2018年度は個人消費だけでなく設備投資も大きく減速していたこととなった。

 そして今回の改定では、家計の貯蓄志向の高まり、すなわち消費性向の低下も際立っている。

 ①消費税率引き上げ前の7~9月の消費性向ははっきりと上昇した。

 ②それでも上昇後の水準は一次速報時に比べ低い。

 ③消費性向は、一次速報時には、ようやく下げ止まってきたようにも見えたが、二次速報では下げ止まりは感じられない。駆け込みの反動でどこまで低下するか心配だ。

 人生100年時代の家計は、そもそも①老後の長期化への備え、②財政赤字の拡大による年金・医療・介護・福祉への不安があるうえ、ここに来て、③雇用、賃金の先行き不安も感じていると思われる。

 今回の改定値はそうした状況を反映している。ユーザーの厳しい選択にしっかりと対応できる経営を目指したい。

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