わたしの意見-
水野 創

新型コロナウィルス、少ない日本の死亡者数

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2020年4月16日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 緊急事態宣言後、極力接触機会を抑えつつ、感染動向を見守る日々が続く。こうした中で、日本の死亡者数は、増加傾向とは言え、各国に比べ極めて少ない。関係者に感謝したい。

 死亡者数の少なさでは、イタリア、スペイン等と比較してドイツがよく引き合いに出される。大量検査による早期隔離、充実した医療体制、重症患者優先が背景とされるが、死亡者数、死亡率、人口1万人当たり死亡者数のすべてで日本の方がより少ない(表1)。

 日本は、感染者数、人口1万人当たり感染者数でも、これまでのところの各国比圧倒的に少ない。後者は、米国から「過少」とされている中国と似た水準だ。検査に「4日以上の発熱」など厳しい条件を付けていることに批判もあるが、医療体制を維持し死者を出さないためには極めて有効な施策だったのだろう。

 ただ、足元では、検査の増加と共に感染者・死亡者も増加している。病院・福祉施設での集団感染や地域の医療体制を上回る感染発生等多くの要因に因ろうが、都道府県別死亡者数・死亡率には差がある(表2)。

 今後も全国で重症患者に必要な医療が提供できるよう、検査数の増加は、無症状・軽症の感染者の居場所の確保と歩調を合わせることが必須だと思う。

 そして、日本には検査を受けていない多くの感染者がいるはずだ。足元の緊急事態を乗り切り、地域社会・経済の復活と野放しの感染者のあぶり出し・感染拡大・重症化防止の並行作業も進みたい。

 

 

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