わたしの意見-
水野 創

緊急事態!それでも強まる一極集中 ウイルス共存社会では「レ」字回復

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2020年5月8日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 緊急事態宣言が5月31日まで延長された(5月4日)。

 もっとも政府、専門家会議がウイルスとの長期的共存を明示したことで、宣言解除の効果も限定的となった。

 ①北海道が示すように、宣言解除でゆるみが生じるとより大きな第2波に見舞われる(図表1)。潜在的な人を含め感染者が周囲にいる限り、社会・経済活動には制約が生じる。

 ②移動自粛の呼びかけが始まっていた3月中の千葉県の人口動態が発表され(1日)、県外からの転入増を主因に、前年を大きく上回る増加となっていた(図表2)。埼玉県、神奈川県も同様な傾向(図表3。東京都は未公表)で、年度替わり時の移動や首都圏一極集中に伴うリスクが継続する。

 ③回復スピードを上げる訪日客やオリパラ開催を展望するには、現在実質的に閉ざされている国境の再開が不可欠だ。しかし、今の独自対応のままでは、日本に来たい、日本から招きたいという人はいないと思う。

 一方で、自由な社会・経済活動再開を目指し、完全な感染防止対策を待つとすると、実現はいつになるか分からない。感染者数や医療体制、治療法・ワクチン開発の状況、そして先行する諸国の実例を見ながら最善の宣言解除、活動再開に挑まなくてはならないのが現実だ。

 新型コロナウイルスと共存する社会が長期化するとされる以上、「V」字回復ではなく「レ」字回復を前提に、これからの社会・経済活動に備えることが必要だということだ。

 与えられる情報を吟味して、最善を尽くしたい。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。