わたしの意見-
水野 創

コロナ下、ますます「お金を使わない」家計へ

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2020年5月22日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 1~3月期GDP1次速報が発表された(18日)。

 緊急事態宣言の発令前、3月の連休時には「ゆるみ」が指摘された時期だが、家計の消費、企業の設備投資、輸出といずれも厳しい結果となった (表1)。

 雇用者報酬は伸びているが、旅行、外食の自粛等の影響で消費性向は大きく低下している。高齢化の進行(貯蓄の取り崩し)などから上昇トレンドを高め始めた1990年代後半だ(表2)。

 消費性向については、高齢化進行による貯蓄取り崩しという基調的な上昇要因がある一方、最近では人生100年時代の将来不安が下押し要因となっており、今回はこれに、消費税率引き上げ前の駆け込みの反動と新型コロナウイルスによる自粛の影響が重なって大きく下げた。

 自粛、休業あけ、消費性向は反転するだろうか。強弱両要因がある。

 反転要因①自粛疲れによる反動増。ちょっとしたゆるみですぐ商店街や観光地に人が出ることを見ると店の再開とともに期待できる。

 反転要因②100年生きられるとは限らないことによる現在の消費重視(健康づくり、趣味、旅行等)。これは夏休み以降、生活様式の変化として現れると思う。

 抑制要因①突然所得がなくなった時への備え。いくら貯蓄は持たないといっても、これまでは行き過ぎと反省。ただし、格差拡大で低所得者はしたくてもできないという声もあろう。

 抑制要因②財政の大盤振る舞いでこれまで以上に財政の先行きへの不安が増す。

 これまでの家計の行動を見ると、最後の要因が大きく、多少は戻すが低下基調が続くと思う。変化する価値観の中でお客様に選んでいただける商品・サービスを提供していきたい。

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