わたしの意見-
水野 創

東日本大震災から10年 県内自治体の人口は増減ともに変化幅拡大方向

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2021年3月18日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

 東日本大震災から10年、被害にあわれた皆様に改めて心からお見舞い申し上げるとともに、復興に向けた取り組みを続けてきた関係者の皆様に敬意を表します。

 千葉県は、大震災の後も、2019年の台風、昨年からのコロナ禍と全圏で大きな災害を経験しています。一方で、千葉県は、交通インフラ整備、オリ・パラ開催決定を契機に強まった首都圏一極集中の強まりなどの効果も大きく、大震災で被害の大きかった県の中では唯一人口増加を続けています。

 そして、県内自治体毎の人口増減を、国勢調査を中心に5年ごとに見ると、増加、減少の方向にほとんど変化がなく、ともに変化幅を拡大している先が多いことが分かります(表1)。

 特徴点は以下の通りです(表2)。

 ①減少から増加に転じた先の内2先は浦安、松戸市。東日本大震災の後、液状化やホットスポット要因でいったん減少した後、増勢を回復。

 ②残りの一先は富里市。成田空港周辺では多古、栄町も減少幅が縮小。ただし、直近で台風・コロナ禍の影響を受けた成田市の最近5年は増加幅縮小。

 ③交通インフラ整備や子育て支援などで流山市は大幅に伸び率を高めている。オリンピックのサーフィン開催地一宮町は減少幅縮小。

 ④今回減少に転じたのは台風・大雨被害の大きかった佐倉市。このほか、台風被害の大きかった鋸南町、南房総市や、東日本大震災と台風双方の影響を受けた香取、旭市も最近5年の方が減少率が大きく厳しい。

 人口の流れの勢い、そしてそれを変化させることのむずかしさを改めて感じますが、コロナ禍で、人口動態はさらに変化しています。

 東日本大震災から10年を経て、各地域は、改めてそれぞれの環境変化・これまでの地方創生の成果を評価し、将来を拓く更なる取り組みにつなげてゆく時機にあると思います。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。