わたしの意見-
水野 創

続々・国勢調査速報-将来人口推計比でも勢い

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2021年7月13日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

  国勢調査速報を、前回国勢調査結果を基に作成された将来人口推計と比較してみよう。

 将来推計人口は、国勢調査で示される直近5年間の動きが将来にわたって続くことを前提として作成される。実際の人口が推計と異なる場合には、新たな変化が生じていたり、これまでと変化の速度が変わったことになる。

 都道府県ごとの比較を見ると(比較対象は国立社会保障・人口問題研究所の推計)、千葉県は推計を1.33%上回り、東京都に次いで全国2位の上回り率となる(表1)。ここでも推計を上回る東京都への人口集中の強さが際立つ。3位は大阪府で10都府県が全国以上の上回り率となっている。

 全国も推計を上回っているが、比較的安定した推移を示す自然増減ではなく、国外からの転入ペースがこれまでより上がったためと思われる。11月の人口等基本集計による外国人数の発表で確認したい。

 千葉県については、ちばぎん総研作成の将来人口推計の中位推計と上位推計の間にあることはすでに紹介したが、上回り率は0.29%にとどまっており、地域の状況を市町村別に調査したうえでの推計の精度の高さを示している(表2)。市町村別では0.0%~0.1%の差のところもあり地域のシンクタンクとして少し誇らしい気持ちになる。

 県内の市町村は、人口の「増加」、「減少」、推計比「上回る」、「下回る」の組み合わせは様々。推計比でみると、東日本大震災からの復興の程度、交通インフラ整備の効果、オリ・パラ効果、産業振興、住みやすさ、地方創生、そして、台風・大雨被害、コロナ禍と、推計時の動きの評価と現実との差が反映していることになる。

 今回の結果を今後のそれぞれの地域づくりにつなげていきたい。

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