わたしの意見-
水野 創

千葉市人口に顕著な地域差―開発と高齢化

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2021年7月28日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

  千葉市の国勢調査結果について、「常磐・つくばエクスプレス・北総線沿線自治体に比べ、置いて行かれた感がある」、「地方の県庁所在地と比べてどうか」といったご意見・ご質問をいただいた。

 千葉市の結果は以下のとおりである(図表1~3)。

 ①前回調査からは0.3%の増加だが、増加率は前回の1.1%を下回った。

 ②県庁所在地の政令指定都市と比べても見劣り。県の増加率を下回っているのも千葉市だけ。

 ③東京圏3県の政令指定5市でみると、増加率4%台の2市と0~1%台の3市に分かれる。後者の共通点は、人口が減少する区があること。

 ④千葉市の場合、まちなか居住が進む中央区、開発が続く緑区は増勢持続。美浜区は小幅増加、稲毛区は小幅減少だが、横ばい圏内。高齢化の進む花見川区、若葉区は減少継続。

 早い時期からベットタウンとして発展した地域の高齢化が進み、新規開発と合わせ高齢者にとって住みやすい街づくりが課題だ。また、地方の県庁所在地との比較では、地域の政治経済の中心地を目指す人々の受け皿機能に差がある。

 オリ・パラ開催地としての蓄積も活かした共生社会の定着、インフラ整備、魅力ある文化溢れるまちづくりは、上記と共にコロナ禍以降の人口動態の変化への対応にもなる。

 「置いて行かれた」より「先行して課題に直面している」と評価し、今後に期待したい。

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