わたしの意見-
水野 創

東京圏への一極集中-でも豊かさは

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2021年8月18日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所取締役会長]

  千葉県は、全国と異なり、地域の元気印である人口の増加基調を持続している。交通インフラの整備、東京一極集中等を背景としたものだが、人口増加と共に豊かさも増しているのだろうか。

 先ごろ内閣府は2018年までの県民経済計算の「一人当たり県民所得」を公表した。千葉県は、2007年と比較して、全国を下回る伸びにとどまり、順位も下げるなど厳しめの結果となっている(図表1)。

 リーマンショック(2008年)による産業構造変化、東日本大震災(2011年)の被災等の影響もあろうが、厳しめの結果は千葉県だけではない。東京圏1都3県は、東京都が1位を保っているものの、金額は▲8%の減少、神奈川県は金額と順位、埼玉県は順位を下げている。

 この間、順位を上げているのは、茨城県、群馬県、山梨県など東京圏を取り巻く人口が相対的に少なくかつ減少している地域が中心だ(図表2)。

 コロナの感染者は東京圏で多く、足もとはより厳しい数字となっているかもしれないが、これからは、デジタル化、脱炭素等世界経済の環境は中長期的に大きく変化する時代だ。イノベーションを進め、生産性向上に向け局面を変える好機と前向きにとらえたい。

 豊かさは、経済、文化、暮らしやすさ、安心・安全等いろいろな尺度があり、所得だけでは捉えられない面もある。これら全体を含む地域の魅力も再考したい。

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