わたしの意見-
水野 創

変化が続く産業構造―地域への影響も様々

水野 創[ちばぎん総合研究所 前取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2021年9月3日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所 前取締役会長]

  リーマンショック以降、グローバル競争の激化と円高、東日本大震災と復興・国土強靭化、東京圏への一極集中加速、高齢化の進行など社会・経済環境の大きな変化が続いている。産業構造も当然変化している。

 全国について、都道府県別県内総生産(名目)構成比の2007年から2018年までの変化で見ると、構成比を高めている上位3業種は、①保健衛生・社会事業、②不動産業、③建設業(図表)。これに対し低下は、大きい順に①金融・保険業、②卸小売業、③製造業の3業種になる。

 業種・地域別に特徴的な動きを見てみよう。

 ①高齢化の進行を反映した保健衛生・社会事業の上昇幅は、高齢化率全国一位の秋田県で1.7%ポイント。構成比は二桁(11%)に至っている。千葉県・東京都でも、高齢化率がより高い千葉県が2.3%ポイント、東京都でも1.5%ポイント上昇している。高齢化の進行により今後も上昇が続く。

 ②減少幅の大きかった金融・保険業、卸小売業は、両業種の全国シェアの高い東京都(2018年全国シェア各36%、31%)への影響が特に大きく、低下幅は各▲2.1%ポイント、▲2.6%ポイントに達した。この結果、金融・保険業の構成比は不動産業、情報通信業等を下回るに至っている。

 ③千葉県では製造業の低下幅が▲1.6%ポイントと最も大きい。製造業の構成比トップは変わらないが、千葉県で優位性のある素材・電気関連産業を中心としたグローバル競争の激化などの影響を大きく受けたことを示している。

 足元のコロナ対応、中長期的な脱炭素化の動きなども加わり構造変化は今後も確実に進む。地域・企業の特徴・得意分野をどう活かし、この変化を飛躍につなげるか腕のふるいどころだ。

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