わたしの意見-
水野 創

製造業の中でも続く変化

水野 創[ちばぎん総合研究所 前取締役会長]

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2021年9月7日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所 前取締役会長]

  千葉県の県内総生産における製造業の構成比が低下している(2018年19.0%、2007年比▲1.6%ポイント)。

 製造業の内訳をみると、変化の背景が明らかだ(表)。

 ①構成比低下が最大なのは2007年の構成比が最大だった一次金属。構成比2位だった石油・石炭製品も低下している。どちらも京葉工業地域の素材産業だ。

 ②リーマンショック以前千葉県産業を特徴づけていた電子部品・デバイス、電気機械、情報・通信機器の3業種も大きく低下。地域への影響も大きい。

 ③これに対し食料品は、首都圏市場の拡大や高速道路網の整備により、東京湾岸だけでなく県内各地で増加、構成比を高めている。

 ④また、素材産業にあって化学は構成比を高めている。高付加価値化の取り組みの成果の表れとみられる。

 これら業種別構成比の変化は、千葉県特有のものでなく首都圏1都4県で同様だ。こうした中で千葉県は素材産業の構成比が高く、輸送用機械の構成比が低いのが特徴となる。

 今後、脱炭素、情報通信の高度化や高齢化に向けた大きなうねりの中で、自動車、電力、通信関連をはじめ急速なイノベーションが進み、県内の産業構造も更なる変化を続けると思う。すでに構成比を高めている化学のほか湾岸工業地域のグローバル企業の底力の発揮に期待したい。また、中小企業主体ながら、相対的に構成比を高めている金属製品、汎用・生産用・業務用機械にも一層の革新的取り組みに注目している。

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