わたしの意見-
水野 創

緊急事態宣言解除。今後を決める要因は?

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2021年9月29日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所 前取締役会長]

 緊急事態宣言が漸く解除される。影響の大きかった業種に少しでも光明が見えることを期待したい。


 もっとも、短期間で新規感染者が急減した要因は必ずしも明確になっていない。各国の動きも様々だ。


 感染者数累計の上位5か国と日本の動きを見てみよう(図表)。


 新規感染者数に影響すると思われる、「これまでの感染者数累計の人口対比①」では、米国、英国、ブラジルは10%以上だが、日本は1.3%、インドも2.4%。「ワクチン接種率②」では英国、米国、日本が50%を超えている。①②を合計すると英米は7割前後に達する。


 これに対し、最近の感染状況の大きさを「9月中の感染者数が感染者数累計に占める割合」で見ると、日本が11%で最も高いが、続くのは英国の9%、米国の7%。ブラジル、インドは2%。


 英国はスポーツ大会等で多くの観客を入場させるウィズコロナの壮大な社会実験を行った、米国はワクチン接種・コロナ対策に対する国内の分断・格差が存在するなど、各国それぞれの事情もあるのだろう。先行してワクチン接種を行った地域では、変異株の拡大ですでに効果が小さくなっている可能性もあろう。この間、ブラジル、インドは、大流行の後7月以降、新規感染者数は減少・横ばい圏内。


 感染者は上記の通りだが、「死亡率」は低下傾向にあり、ワクチン接種による重症化抑制効果が感じられる。


 人口密度、人流等抑制の程度、医療体制、格差、ワクチン接種率、変異株の動向、人々の行動様式など様々な要因と結び付け、全体像を把握するのは素人には極めて難しいと思う。


 今後も、日本では、感染状況・医療ひっ迫度等を見ながら、一人一人が自分の判断で行動する可能性が強いと思われる。適切な行動につながる専門家・政治家による分かりやすい説明と行動指針の提示を期待したい。

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