わたしの意見-
水野 創

緊急事態宣言解除―感染状況から感じる千葉県の位置

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2021年10月4日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所 前取締役会長]

 第5次感染拡大が収束したが、今回は、感染者数のピーク水準の高さと、感染者発生地域の広がりの大きさに驚かされた。

 千葉県では、私どもが1週間単位で集計している市町村別感染者数で、3週間にわたって県内全ての市町村で感染者が発生した。第4次までは、ピークの3週間でも感染者のない週がある市町村が相応に存在したのとは大きく異なる(図表1)。

 我慢疲れもあって、連休と夏休み入りで人の移動が大きかったこと、変異株の感染力が強かったこと、感染の急拡大で検査・隔離体制が十分機能しなかったことなどの拡大要因が、ワクチン接種の抑制効果を上回ったのだろう。

 なお、市町村より広域な都道府県でも、第2次までは、ピーク期に感染者なしの週が存在。

 次に、全国、千葉県ともに都市部から地方部に感染が拡大した結果、各地の累計の感染率がどのようになっているのかを確認しよう(図表2)。

 全国では、沖縄県の感染率(3.3%)が、都市部の東京都(2.6%)、大阪府(2.2%)、神奈川県(1.8%)、千葉県(1.5%)などを大きく上回っている。全体としては0%台半ばが多く、最も低いのは秋田県、島根県の0.2%。

 千葉県では東京都に近い、市川市、浦安市、船橋市などが高く、大多喜町など地方部が低いが、その幅は0.4%~2.0%と全国より狭く、全国より高めの0%台後半から1%台前半に山がある。

 千葉県では地方部を含め、東京都に近く、人の流れが活発なことを示していると思う。行動制限緩和にあたっては、全国以上に第6次感染拡大抑止に向けた心構えが必要だ。

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