わたしの意見-
水野 創

人口増加は沖縄県だけに!

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2022年1月12日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所 前取締役会長]

 新型コロナウイルスによる人口動態の変化の長期化で、東京圏1都3県全体が人口減少に転じている。では全国ではどうだろう(図表)。


 2020年国勢調査確報で人口が増加していた8都県のうち東京圏を除く4県をみると、愛知県、福岡県、滋賀県の3県は東京圏同様減少に転じている。人口増加維持は自然増減(出生―死亡)が現在もプラスの沖縄県だけだった。

 減少に転じた3県の内、愛知県、滋賀県では国勢調査時点で日本人人口はすでに減少、外国人で支えられていた。福岡県も自然増減はマイナスで、外国人を含む社会増減(転入―転出)変調が国勢調査以降の全体の減少につながった。増加を維持している沖縄県も、増加率は国勢調査時と比べ大幅に縮小している。

 なお、愛知県、滋賀県と同様の特徴を持つ大阪府(日本人の人口減少を外国人でほぼ補う)、群馬県(外国人比率は東京都、愛知県に次ぎ全国3番目に高い)は、国勢調査時点ですでに人口は減少していたが、その後も減少が続いている。 

 そして、全国の2020年10月1日の国勢調査から2021年12月1日までの減少率は▲0.5%と2015年から2020年までの5年間の減少率▲0.7%(年平均▲0.15%)の約7割を1年強で実現してしまったことになる。

 地域経済にとっても、日本経済全体にとっても、現状が長引けば長引くほど成長率の引き下げ要因として影響は大きい。

 少子高齢化、人口減少が加速する日本には、海外からの人材に対する期待はイノベーションの必要性と合わせますます高まるはずだ。 今後も新型コロナウイルスは変異を重ねるのだろう。その都度、国際間の人の移動が大きく制約を受けることのないよう、変異型の分析、ワクチン・治療薬・治療法、入出国等水際対策などを迅速にまとめ上げる枠組みを国際的協力の下で構築していくことが必要だと強く感じた。

 

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