わたしの意見-
水野 創

地域存続へ!学ぶ場・働く場あるいはそこへのアクセスを

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2022年3月14日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所 前取締役会長]

 千葉県内は大きく人口増加地域と減少地域に分かれる。それら地域の人口構成にはどのような違いがあるだろうか。

 2000年から20年まで5回の国勢調査における、年代別の人口推移で確認しよう。20年国勢調査の15年比増減率で、県内最高の流山市、最低の鋸南町、そして千葉県についてグラフにした(図表)。

 千葉県全体で見ると、第1次、第2次ベビーブームの山が順次右(5歳高齢化)にほぼ平行移動している。第3次ベビーブームに該当する山はない。

 ・流山市は、子育て世代の転入超過を反映し、第2次ベビーブームの山は右上に高まっている。そして最近の出生・転入まで含む20年調査の示す第3次ベビーブームの新たな山は第1次ベビーブームの山に匹敵している。

 ・鋸南町では、第1次ベビーブームの山のみ。第2次ベビーブーム以降は、15歳から24歳までの間に多くが地域を離れ、子育て世代の人口流出が次世代の出生減少にもつながっている。20年調査の実線は各世代で最も低い水準を示している。

 20歳前後の転出増は、学ぶ場・働く場を求めての転出だろう。地域の中でこうした場を設け、あるいは学ぶ場・働く場へのアクセスを容易にすることが重要になる。

 鋸南町では、廃校を利用した道の駅「保田小学校」や漁協直営食堂「ばんや」が目立つが、日本遺産候補地となった鋸山もこれまで以上に活用し、観光をメインに働く場を増やす努力を続けたい。

 この機会に将来に向け、地域ごとの現状をしっかり把握しておこう。

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