わたしの意見-
水野 創

やはり強かった感染力 ―第6波の県内自治体別感染状況に見る

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2022年3月31日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所 前取締役会長]

 新型コロナウイルス感染拡大第6波対応の「まん延防止等重点措置」がようやく解除された。この機会に第6波の県内市町村別感染状況を確認した。

 市町村別に人口を横軸、人口当たり感染率を縦軸にとり第5波と第6波を比較すると(図表1)、

 ①人口40万人を境に、人口の多い自治体では、第5波でおおむね1%程度だった感染率が、4%程度に上昇。

 ②一方、人口の少ない自治体では、第5波の0.5%前後からおおむね1%程度に向けた緩やかな右上がりから、第6波では、全体としておおむね4%への右上がりになるが、人口が少ない自治体間でのバラツキの大きさの方が目立つ。

 この差をより明確にするために、縦軸を第5,6波の感染率の差、増加倍率にしてみると(図表2,3)、

 ③差では、人口の少ない自治体で1%ポイント程度の上昇にとどまっている先(神崎町、東庄町)がある一方で、人口の多い先並みの上昇を示している先(一宮町)も存在。

 ④増加倍率では、人口の少ない自治体の倍率の低い先(いすみ市、南房総市)でも人口の多い自治体並みの倍率になっている。また、倍率の高い先(多古町)は前回の7倍以上の感染率となっている。

 このように第6波では、人口の少ない自治体でも多い自治体並み以上の感染率幅拡大あるいは感染者増加倍率となっていること。人口だけでなく、年齢構成、人口密度、他地域との交流の程度など多くの要素がこれまで以上に感染拡大につながっているのだろう。人口の少ない自治体の対応負担、地域経済への影響が相対的に大きかったとも考えられる。

 コロナ禍が今後どのような推移をたどるかは分からないが、感染力が強まる中で経済・生活を維持していくためには、これまで以上に県内全体の対応力向上が必要だと感じた。

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