わたしの意見-
水野 創

人口増加へのスタートライン ―沖縄県も減少から

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2022年4月21日号に掲載)

水野 創[ちばぎん総合研究所 前取締役会長]

 千葉県人口は3月1日を底に増加に転じる。背景は就職、進学等季節要因、コロナ水際対策(海外との人的交流抑制)の段階的緩和、密な東京都を避ける動きの受け皿などと指摘した(4月7日号)。

 今回は総務省「2021年10月1日現在の人口推計」(15日公表)などから、千葉県を含む1都3県と沖縄県について確認しておきたい(図表1~2)。

 ①上記発表では、都道府県別にみて、前年比で人口が増加しているのは沖縄県のみ。1都3県も国勢調査時の増加から減少に転じた。そして唯一の増加県沖縄県も、2022年3月1日現在では減少に転じている。

 ②1都3県が減少に転じたのは、自然増減の減少を社会増減の増加で補えなかったためだが、今回公表された社会増減の内訳は1都3県で差があり、今後の増加局面にも影響しそうだ。

 ③日本人の都道府県間の移動は1都3県全てで転入超。東京都を避ける受け皿としては神奈川県のブランド力が強そう。外国人は、東京都、千葉県が転出超、埼玉県、神奈川県が転入超。働く場等への影響に差があるのかもしれないが、経済状況の変化が今後の流れをどう変えるのかが気になる。

 ④出入国による移動は全国計で日本人は3年ぶり、外国人は26年ぶりの転出超。1都3県では、まずは成田空港の周辺に住むということかもしれないが、千葉県だけは日本人、外国人とも転入超となっている。

 ⑤沖縄県については、自然増減は引き続き増加しているが、その幅が縮小、社会増減の減少幅が拡大したことで減少に転じた。

 今回発表された内訳は昨年10月1日までの1年間のものだが、コロナ禍の状況等を考えると3月1日までは大きな差はないと思われる。

 こうした動きは、全都道府県人口減少の状態から、1都3県や沖縄県が再び人口増加に向かうとしても、その中での競争の厳しさを示すものである。2025年の国勢調査で2020年を上回ることを目標に、働く場、住みやすさ、ブランド力、コロナとの共生(密を避ける動きの定着)など魅力をさらに高めることを願いたい。

●当ウェブサイトに記載されているあらゆる内容の著作権は、株式会社ちばぎん総合研究所及び情報提供者に帰属し、いかなる目的であれ無断での複製、転載、転送、改編、修正、追加など一切の行為を禁じます。