Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

コロナ禍でのヒトの動き─国別、地域別比較

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2020年7月29日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 新型コロナウイルス感染症が再び拡大傾向にある。医療体制が逼迫していないことなどから、政府は、感染拡大の防止を図りつつも、経済活動を後押しする方針だ。車の運転で言えば、再び停車するのではなく、道路や周りの状況に十分注意しながら、安全運転に心がけるというイメージだろう。


 そこで、日本経済新聞に掲載されたデータを基に、経済活動を反映すると考えられるヒトの動きを、国別・地域別にみてみよう。特徴は以下の3点。


 ① ニューヨークやパリなど米欧の主要都市と東京を比較すると、ボトムでも東京のヒトの動きが多く、その後の持ち直し傾向もはっきりしている(下図1)。これは、日本では米欧と異なりロックダウンが実施されず、またその後の感染状況も相対的には落ち着いていることが、主たる背景と考えられる。


 ② 日本の中を地域別にみると、感染状況の違いなどを反映し、北海道などの地方は東京に比べ落ち込みが小さく、持ち直し傾向も明確である(下図2)。


 ③ 感染が再拡大している足もとでは、感染リスクへの警戒からヒトの動きの回復は一服しているが、再び大きく落ち込むには至っていない。


 別途、内閣官房が掲載するデータで、千葉駅周辺と東京駅周辺を比較してみると、7月28日時点で感染被害発生以前と比べ、千葉駅が-8.5%まで持ち直す一方、東京駅では-47.5%とかなりのマイナス。テレワークの普及の違いなどもあろうが、基本的には、感染状況の深刻度合によるものと考えられる。


 こうした地域別にみたヒトの動きの違いを踏まえると、人口密度が相対的に低い地域での経済活動の持ち直しが相対的に速いと言えそうだ。千葉県には多様な経済圏が存在している。まずは、自然に恵まれ感染リスクも相対的に小さい南部や東部を中心とした、経済活動の持ち直しの継続を期待したい。

 職場でのヒトの動き(2月上旬までの5週間と比べた増減率)

(図1)

(図2)

 

 

(出所)日本経済新聞「新型コロナウイルス感染世界マップ」

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