Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

製造業の生産活動はコロナ禍前の9割以上にまで回復

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2020年11月2日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 経済産業省の鉱工業生産指数(季節調整済、図表1)をみると、コロナ禍前の1月に比べ、5月にかけて2割以上減少。その後、4か月連続で前月比増加し、9月には8%低い水準まで戻った。企業の生産計画(予測指数)をみると、11月にかけてさらに増加し、コロナ禍前に比べ3%低い水準まで回復することが想定されている。


 こうした生産回復の背景には、国内のモノ消費の回復とともに、海外経済動向を反映した輸出の持ち直しがある。生産を業種別にみると、以下のような特徴。


 ①電子部品・デバイスでは、世界的なデジタル化需要の高まりを背景に、コロナ禍前を上回る水準にまで増加。


 ②輸送機械では、5月にはコロナ禍前のほぼ半減となっていたが、内外での乗用車販売の回復(図表2)を反映して、ここにきて急速に戻ってきている。輸送機械は、部品や素材といった他産業への波及効果が大きく、生産全体の回復に大きく寄与している。


 ③一方で、生産用・汎用・業務用機械などはなお鈍い。この分野における日本企業の世界シェアは高く、その分、現局面においては世界的な機械投資の抑制の影響を受けやすい。


 財務省の貿易統計をみると、輸出金額(円ベース)の前年比は、5月に-28.3%まで減少した後、中国向けを中心とした持ち直しから、9月には-4.9%までマイナス幅を縮小している。このうち、成田空港からの輸出金額は、9月には前年比+5.6%と7か月ぶりに増加に転じたが、これには空輸が利用される電子部品関連の輸出増加が影響している。

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