Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

千葉県の将来人口

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2024年3月13日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 ちばぎん総研は3月7日、「千葉県の人口動態分析と将来人口推計」を公表(ひまわりベンチャー育成基金からの受託)。昨年公表された国立社会保障・人口問題研究所の人口推計も踏まえつつ、地域の特性を勘案した上で、県および市町村別に2020年を起点とする70年までの人口を5年毎に推計したものだ。

 人口推計のポイントは以下のとおり。

 ①人口増を続けてきた千葉県でも減少に転じ、20年(628万人)と比べ50年に89%(560万人)、70年には77%(486万人)に低下。

 ②前回の人口推計に比べると県全体で幾分上振れ(図表1)。出生率は下振れているため、社会増(転入超)の拡大によるものであり、それが人口動向に相応の影響を及ぼしていることが分かる。

 ③地域別にみると(図表2)、常磐・TX沿線地域や東京湾岸地域の人口は暫く増加し50年時点でも20年に近い水準を維持する一方、銚子・九十九里・南房総地域では50年に6割弱まで大幅に低下するなど、地域間格差は拡大。

 ④年齢別には、65歳以上の比率が20年の28%から50年36%、70年37%へと大きく上昇。

 ⑤外国人は着実に増加し、人口に占める比率は20年の2.6%から50年6.6%、70年には11.3%と1割を超える水準に上昇。

 以上を踏まえると、まずは転入促進で人口減を緩和することが大事だ。その際、ワークライフバランスや健康志向などの意識が高まる中で、千葉らしい「楽住近接」(職住近接+余住近接)という通勤に楽で楽しい暮らし方ができる居住地としての魅力をPRしていくことが考えられる。

 次に将来の人口構成を踏まえると、シニアの就労支援や外国人材の活用も大事だ。50年後に外国人割合が1割超となることも踏まえると、県全体で多様性を受入れる環境作りが必要となる。

 さらに人口減少が進む地方圏においては、産業振興と同時にDX活用による担い手不足への対応も不可欠になることは言うまでもない。

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