Business Letter
「点描」
社長 前田栄治

連合集計:賃上げは中小企業でも4%台

(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2024年3月26日号に掲載)

前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]

 連合は先週末(3/22日)、今春闘の第2回回答集計値を公表。定昇を含むベースで5.25%と、昨年同時点の3.76%を1.5%程度上回り、91年(5.66%<最終集計値>)以来の高さとなった(図表1)。

 このうち組合員299人以下の中小企業の賃上げは4.50%と、昨年同時点の3.39%を1%強上回り、92年(5.10%<最終集計値>)以来の高さ。

 賃上げ率を企業規模別に詳しくみると(図表2)、300人以上の企業が5.28%、100~299人が4.62%、99人以下が4.05%と、規模が小さくなるにつれて低くなるが、99人以下の企業でも4%程度とかなり高い。

 賃上げのうち定昇等を除くベースアップは8割強の組合で集計され、全体が3.64%、中小企業は3.15%と昨年同時点(2.25%、2.06%)を大きく上回る。

 今年の特徴は第1に、要求(5.85%<3月初時点>)と回答の乖離が小さいこと。大手企業では満額回答だけでなく要求を上回る回答もみられる。

 第2に、例年第1回より低くなる第2回が殆ど変わらないこと。全体では▲0.03%の僅かな下振れ、中小企業では+0.08%と上振れるなど、やや異例の状況となっている。

 こうした特徴も踏まえると、最終集計でも全体が5%強、中小企業では4%台半ばの賃上げとなり、ベアはそれぞれ3%台半ば、3%程度で着地しそうだ。

 高い賃上げ率の背景には、企業が人的資本形成や人手不足対応への意識を強め、賃上げをコストではなく投資と捉えていることがあると思われる。中小企業では、相対的にコスト高に苦しみつつも、良質な人材確保の観点から賃上げ止むなしとの考えが拡がっているものとみられる。

 ちばぎん総研では、千葉県における春の賃上げに関する定性的なアンケート調査を毎年実施している。調査結果の公表は例年ゴールデンウィーク明け。そのタイミングで、千葉県企業の賃上げ動向についてご報告したい。

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