Business Letter
「点描」
社長 前田栄治
千葉県企業の支出行動は24年度も積極的
(「(株)ちばぎん総研BusinessLetter」2024年5月8日号に掲載)
前田 栄治[ちばぎん総合研究所取締役社長]
本日公表となった「千葉県企業経営動向調査」(ひまわりベンチャー育成基金<総研が受託し、3月~4月初に実施>)をみると、千葉県企業の支出行動は24年度も積極的であることが窺われる。
24年度の設備投資計画は、増加企業の割合(43.7%)が減少企業割合(21.5%)を大きく上回った(図表1)。23年度と比べると横ばい割合が増えているが(31.2%→34.8%)、2年連続で増加割合がかなり大きかっただけに、高水準横ばいの企業が増えたとみられる。

賃金について、まず24年度のベア実施予定をみると、実施割合(47.2%)が約半数と高水準(図表2)。実施割合は23年度(51.0%)に比べると若干減少しているが、調査項目に「未定」(13.5%)を加えたことも影響しているとみられ、それを除いて計算すると54.6%と23年度を上回る。

定昇を含めた賃上げ全体については、実施予定が78.5%と約8割に達する。その賃上げ率は3.32%と23年度の3.00%を上回り(図表3)、過去5年で最低だった21年度(1.90%)の1.7倍程度に達する。

直近の連合集計(第4回<4/16日集計>、全体5.20%、99人以下4.19%)に比べると低いが、調査時点の違いなども影響している可能性がある。全国対比で明確に低いかどうかは幅をもってみる必要があり、千葉県企業も賃上げに前向きになってきているという評価で概ね間違いないだろう。
ベア実施の理由を尋ねると(複数回答可)、「物価上昇への配慮」(45.8%)と「優秀な人材の確保」(42.7%)が圧倒的に多い。この点、消費者物価については、今後しばらく前年比+2~3%程度の上昇を続ける可能性が高い。また「雇用充足感」の調査では、24年度に雇用不足がさらに強まるとの結果となっている。これらを踏まえると、来年度も相応の賃上げが続く可能性が高いと見ておいた方がよさそうだ。
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